クロスマージンとは、証拠金はオープンポジション間で共有されます。必要に応じて、特定のポジションに合計アカウント残高からより多くの証拠金が設定され、清算を回避します。
分離マージンとは、特定のポジションに割り当てられる証拠金は一定額に制限されます。 証拠金が維持証拠金レベル未満になった場合、そのポジションは清算されます。 ただし、この方法では任意に証拠金を追加・削除することができます。
目次
BitMEXの2種類の証拠金維持の考え方
BitMEXで用意している証拠金維持には、次の2つがあります。
- クロスマージン
- 分離マージン
クロスマージンと分離マージンは全く異なる証拠金管理になるので、BitMEXで取引するならこの2つの違いをしっかり理解するようにしてくださいね。
最大ポジションサイズごとの取引ルール
クロスマージンと分離マージンの解説に入る前にポジション数量ごとの必要証拠金率とロスカット率を理解しておく必要があります。
ここでは、デフォルト200BTC(最大数量)を前提に解説を進めますが、念のため200BTC以上のポジションサイズを持った時の必要証拠金率とロスカット率のルールも解説します。
BitMEXでは、ポジションサイズ(リスク制限)によって必要証拠金率とロスカット率が異なります。
ポジションサイズ | 当初証拠金 (必要証拠金率) | 維持証拠金 (ロスカット率) | 最大レバレッジ |
---|---|---|---|
~200BTC | 1.0% | 0.5%(50%) | 100倍 |
~300BTC | 1.5% | 1.0%(66.7%) | 66.6倍 |
~400BTC | 2.0% | 1.5%(75%) | 50倍 |
~500BTC | 2.5% | 2.0%(80%) | 40倍 |
~600BTC | 3.0% | 2.5%(83.3%) | 33.3倍 |
~700BTC | 3.5% | 3.0%(85.7%) | 28.5倍 |
~800BTC | 4.0% | 3.5%(87.5%) | 25倍 |
~900BTC | 4.5% | 4.0%(88.9%) | 22.2倍 |
~1,000BTC | 5.0% | 4.5%(90%) | 20倍 |
必要証拠金率とロスカット率は、ポジションサイズが100BTC増加するたびに0.5%ずつ増えていきます。
リスク制限の変更方法は、下記のオレンジ枠の箇所をクリックすると変更できるようになっています。(初期は200BTC)
クロスマージンの考え方
クロスマージンは、預入れたビットコインの全てを証拠金として利用する方法です。
国内FXの経験者はすぐ理解できると思いますが、受入証拠金に100万円預入れた場合は100万円分が証拠金として使われますよね。(BitMEXの場合はビットコインになります。)
例えば、BitMEXの口座(ウォレット)に1BTC入金して100倍のレバレッジ取引をする前提で考えてみましょう。
- 1BTC(口座残高) × 100倍(レバレッジ) = 100BTC(ポジション)
- 100BTC(ポジション) × 1%(証拠金率) = 1BTC(必要証拠金)
- 1BTC(口座残高) ÷ 1BTC(必要証拠金) = 100%(維持率)
ロスカット率は維持率50%を下回った時点で発動します。つまり、口座残高が0.5BTC(含み損が0.5BTC)下回ったらポジションは強制ロスカットされます。
クロスマージンの設定方法
クロスマージンにする方法は、レバレッジスライダーを一番左にすればOKです。
クロスマージンのメリット
一部のポジションが含み損になっていても他のポジションが含み益になっていれば相殺できるため、含み損のポジションを維持できるのがクロスマージンの強みです。
レバレッジを低く抑えればそれだけ高い維持率もキープできるため、ロスカットリスクも軽減できるのが大きな特徴です。
クロスマージンのデメリット
含み益が出ているものや伸ばしたいポジションがあっても、一部のポジションに大きな含み損が発生し、維持率50%を切ってしまったら全てのポジションがロスカット対象になってしまう点です。
スポーツで例えるとチーム戦で一人でもダメな人がいたらチーム全体の足を引っ張るイメージです。
分離マージンの考え方
分離マージンは、ポジション数量に対する証拠金のみを使って取引する方法です。
例えば、BitMEXの口座残高(ウォレット)に2BTCがあるとします。そして、100倍のレバレッジ取引をする前提で考えてみましょう。
- 100BTC(ポジション) × 1%(証拠金率) = 1BTC(必要証拠金)
維持率は100%からスタートとなります。そして、ロスカット率は50%なので「0.5BTCの含み損以上」になったらロスカットされます。
ロスカット後の残高は、1.5BTCになります。
つまり、分離マージンは口座残高の一部を証拠金に使ってレバレッジ取引ができるようになっています。
分離マージンのメリット
一部の口座残高を証拠金に使うため、損切りが苦手な人は割り切って取引できます。
分離マージンを利用するコツは、レバレッジを抑えて取引するか、損切り幅が狭くても問題ないようにエントリーポイントまで引きつけるのがおすすめです。
また、ポジションを持ってもレバレッジを途中で変更(低く)することでロスカット位置を広く取ることも可能です。
分離マージンのデメリット
レバレッジを掛け過ぎると数分でロスカットされるため、一瞬で諭吉が溶けるリスクがあります。
ボラティリティの高いビットコインは、レバレッジが高いと損切り(ロスカット)までの値幅が狭くなるため、少しのノイズで切られる可能性もあります。
まとめ
- 基本はクロスマージンの管理で良いと思う
- 損切りが苦手な人は分離マージンがおすすめ
- エントリーポイントを厳選して損切りをタイトにするならハイレバ・分離マージンがおすすめ